ボトックス注用50単位
医療用
医療用医薬品:
医師の処方により使用する医薬品
医師の処方により使用する医薬品
医薬品コード(YJコード):1229404D1020
- 収載区分
- 銘柄別収載
- 先発・後発情報
- 先発品(後発品なし)
- オーソライズド
ジェネリック - -
- 一般名
- A型ボツリヌス毒素注射用
- 英名(商品名)
- Botox
- 規格
- 50単位1瓶
- 薬価
- 33,368.00
- メーカー名
- GSK
- 規制区分
- 毒薬
- 長期投与制限
- -
- 標榜薬効
- 末梢性筋弛緩薬
- 色
- -
- 識別コード
- -
- [@: メーカーロゴ]
- 添付文書
-
PDF 2024年6月改訂(第3版)
- 告示日
- 2009年9月25日
- 経過措置期限
- -
- 医薬品マスタに反映
- -
- DIRに反映
- 2010年2月版
- DIR削除予定
- -
- 運転注意
-
注意情報あり(使用の適否を判断するものではありません)注意
- ドーピング
- 禁止物質なし(使用の適否を判断するものではありません)
- CP換算
- -
- 長期収載品選定療養
- -
[識別コードの表記 @: メーカーロゴ]
効能効果
1)眼瞼痙攣、2)片側顔面痙攣、3)痙性斜頸、4)上肢痙縮、5)下肢痙縮、6)重度の原発性腋窩多汗症、7)斜視、8)痙攣性発声障害、9)既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁、10)既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉本剤は理学療法、作業療法等の標準的治療の代替とはならないため、これらの治療と併用して使用すること。
5.2. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉本剤は非可逆的拘縮状態となった関節の可動域の改善に対しては効果を有しない。
5.3. 〈上肢痙縮、下肢痙縮〉痙縮の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行うこと。
5.4. 〈重度の原発性腋窩多汗症、痙攣性発声障害〉診断及び本剤による治療は、国内外のガイドライン等の情報を参考にして慎重に行うこと。
5.5. 〈斜視〉陳旧性麻痺性斜視<外科的手術の施行時に拮抗筋の拘縮を緩和する場合を除く>の改善に対しては効果を有しない。
5.6. 〈斜視〉50プリズムジオプトリーを超える斜視、拘束型斜視、外直筋弱化を伴うデュアン症候群、過去の後転術による過矯正から生じた二次性斜視に対する安全性及び有効性は確立されていないことから、これらの患者に本剤を使用する場合には、その必要性を慎重に検討すること。
5.7. 〈過活動膀胱〉次に示す患者に本剤の投与を考慮すること。
・ 〈過活動膀胱〉抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者に本剤の投与を考慮すること。
・ 〈過活動膀胱〉抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬の投与が副作用の発現により困難な患者に本剤の投与を考慮すること。
・ 〈過活動膀胱〉抗コリン薬又はβ3アドレナリン受容体作動薬の投与が禁忌とされる患者に本剤の投与を考慮すること。
5.8. 〈過活動膀胱〉下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、下部尿路閉塞(前立腺の肥大等)の消失等、改善が十分に得られていることが確認されてもなお、過活動膀胱の症状が改善しない場合に、本剤の投与を考慮すること。
5.9. 〈神経因性膀胱〉次に示す患者に本剤の投与を考慮すること。
・ 〈神経因性膀胱〉抗コリン薬による薬物療法及び行動療法を行っても、効果不十分な患者に本剤の投与を考慮すること。
・ 〈神経因性膀胱〉抗コリン薬の投与が副作用の発現により困難な患者に本剤の投与を考慮すること。
・ 〈神経因性膀胱〉抗コリン薬の投与が禁忌とされる患者に本剤の投与を考慮すること。
5.10. 〈神経因性膀胱〉神経因性膀胱の場合、下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、下部尿路閉塞疾患に対する治療を優先すること。また、神経因性膀胱の場合、下部尿路閉塞疾患(前立腺肥大症等)を合併している患者では、投与前の残尿量にも注意し、本剤投与の可否を慎重に判断すること。
用法用量
〈眼瞼痙攣〉
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として初回1.25~2.5単位/部位を、1眼あたり眼輪筋6部位の筋肉内に注射する。また、眼輪筋切除術施行後の患者に投与する場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。効果は通常3~4ヵ月間持続するが、症状再発の場合には再投与する。ただし、投与間隔は8週以上とすること。また、再投与は初回投与量の2倍までの用量を用いることができるが、本剤の薬理作用である筋麻痺作用が予想以上に強く発現した結果とみられる閉瞼不全、眼瞼下垂等の副作用があらわれた場合には、再投与時の用量を適宜減量すること。
また、1ヵ月間に累積で45単位を超える投与は避けること。
注射部位は添付文書の図を参照。
〈片側顔面痙攣〉
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として次の用量を痙攣筋*に筋肉内注射する。痙攣筋が複数ある場合は、分割して投与する。
・ 初回投与の場合には合計で10単位を投与する。
・ 初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で合計20単位を上限として投与することができる。
・ 症状再発の場合には、合計で30単位を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は8週以上とすること。
*痙攣筋:眼輪筋、皺眉筋、前頭筋、口輪筋、大頬骨筋、小頬骨筋、笑筋、広頸筋、オトガイ筋等。
〈痙性斜頸〉
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として次の用量を緊張筋*に筋肉内注射する。緊張筋が複数ある場合は、分割して投与する。
・ 初回投与の場合には合計で30~60単位を投与する。
・ 初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で合計180単位を上限として投与することができる。
・ 症状再発の場合には、合計で240単位を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は8週以上とすること。
*緊張筋:胸鎖乳突筋、僧帽筋、板状筋、斜角筋、僧帽筋前縁、肩甲挙筋、傍脊柱筋、広頸筋等。
〈上肢痙縮〉
成人
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋*に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの投与量は最大400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
小児
通常、2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋*に合計3~6単位/kgを分割して筋肉内注射する。1回あたりの投与量は6単位/kgと200単位のいずれも超えないこととし、対象となる緊張筋の種類や数により、必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
*緊張筋:上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋等。
〈下肢痙縮〉
成人
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋*に合計300単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの投与量は最大300単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
小児
通常、2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋*に合計4~8単位/kgを分割して筋肉内注射する。1回あたりの投与量は、一側下肢への投与で8単位/kgと300単位、両下肢への投与で10単位/kgと340単位のいずれも超えないこととし、対象となる緊張筋の種類や数により、必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
*緊張筋:腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋等。
〈重度の原発性腋窩多汗症〉
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として片腋窩あたり50単位を、複数の部位(10~15ヵ所)に1~2cm間隔で皮内投与する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は16週以上とすること。
〈斜視〉
通常、成人及び12歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として次の用量を外眼筋に筋肉内注射する。
・ 初回投与
(1). 上下斜視の場合:上直筋又は下直筋に1.25~2.5単位。
(2). 20プリズムジオプトリー未満の水平斜視の場合:内直筋又は外直筋に1.25~2.5単位。
(3). 20~50プリズムジオプトリーの水平斜視の場合:内直筋又は外直筋に2.5~5.0単位。
(4). 1ヵ月以上持続する外転神経麻痺の場合:内直筋に1.25~2.5単位。
・ 初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で初回投与量の2倍までの用量を上限として投与することができる。
・ 前回の効果が減弱した場合には、過去に投与された1回投与量の2倍までの用量を上限として再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。
・ 1回の投与における1つの筋あたりの投与量は10単位を超えないこと。
〈痙攣性発声障害〉
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として次の用量を内喉頭筋に筋肉内注射する。
・ 内転型痙攣性発声障害
初回投与:片側の甲状披裂筋に2.5単位を投与する。
再投与:前回の効果が減弱した場合には、片側又は両側の甲状披裂筋に再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与量を適宜増減することができるが、片側あたり2.5単位を超えないこと。
・ 外転型痙攣性発声障害
初回投与:片側の後輪状披裂筋に5.0単位を投与する。
再投与:前回の効果が減弱した場合には、片側の後輪状披裂筋に再投与することができる。ただし、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与量を適宜増減することができるが、5.0単位を超えないこと。
〈既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁〉
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として100単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
〈既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁〉
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として200単位を排尿筋に分割して注射する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉複数の適応に本剤を同時投与する場合には、それぞれの効能又は効果で規定されている投与量の上限及び投与間隔を厳守するとともに、12週間のA型ボツリヌス毒素の累積投与量として次の用量を上限とすること。
・ 〈効能共通〉成人の上肢痙縮及び下肢痙縮に対する同時投与:12週間のA型ボツリヌス毒素の累積投与量として合計600単位を上限とし、患者の状態に応じて徐々に増量する等、慎重に投与すること。
・ 〈効能共通〉小児の上肢痙縮及び下肢痙縮に対する同時投与:12週間のA型ボツリヌス毒素の累積投与量として合計10単位/kgと340単位のいずれも超えないこと。
・ 〈効能共通〉その他の複数の適応に対する同時投与<上肢痙縮及び下肢痙縮以外>:安全性が確立されていないため、複数の適応に本剤を同時に投与しないことが望ましい(やむを得ず同時に投与する場合、12週間のA型ボツリヌス毒素の累積投与量として成人では合計400単位を上限とし、小児では合計10単位/kgと340単位のいずれも超えないこと)。
7.2. 〈効能共通〉本剤の力価(単位)は、A型ボツリヌス毒素製剤特有のもので、B型ボツリヌス毒素製剤とは異なること、また換算もできないことに留意し、必ず本剤の投与量を慎重に確認してから投与すること。
7.3. 〈効能共通〉本剤と他のボツリヌス毒素製剤の同時投与は原則として避けること(本剤と他のボツリヌス毒素製剤を同時投与した経験はなく、安全性及び有効性は確立していない、同時に投与した場合には、神経筋接合部の麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現するおそれがある)〔10.2参照〕。
7.4. 〈効能共通〉他のボツリヌス毒素製剤を投与後に本剤を使用する場合には、少なくとも他のボツリヌス毒素製剤の用法及び用量で規定されている投与間隔をあけるとともに、患者の症状を十分に観察した上で、効果が消失し、安全性上の問題がないと判断された場合にのみ投与すること(他のボツリヌス毒素製剤投与後に本剤を投与した場合の安全性及び有効性は確立されていない、先に投与された他のボツリヌス毒素の効果が消失する前に本剤を投与した場合には、神経筋接合部麻痺等が増強し、呼吸困難、嚥下障害等の重篤な副作用が発現するおそれがある)〔10.2参照〕。
7.5. 〈眼瞼痙攣〉眼瞼下垂があらわれることがあるので、上眼瞼挙筋周囲への投与を避けること。
7.6. 〈片側顔面痙攣〉痙攣筋の同定が困難な場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.7. 〈片側顔面痙攣〉筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、痙攣している筋肉内に注射する。臨床成績等から、次のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
1). 〈片側顔面痙攣〉初回投与
①. 〈片側顔面痙攣〉眼輪筋:(1部位あたりの投与量)1.25単位/部位、(投与部位数)4部位。
②. 〈片側顔面痙攣〉その他の筋:痙攣筋に眼輪筋とあわせて合計10単位を分割投与。
2). 〈片側顔面痙攣〉初回投与後の追加投与及び再投与
①. 〈片側顔面痙攣〉眼輪筋:(1部位あたりの投与量)2.5単位/部位*、(投与部位数)4部位。
②. 〈片側顔面痙攣〉皺眉筋:(1部位あたりの投与量)2.5単位/部位、(投与部位数)1部位。
③. 〈片側顔面痙攣〉前頭筋:(1部位あたりの投与量)2.5単位/部位、(投与部位数)1部位。
④. 〈片側顔面痙攣〉口輪筋:(1部位あたりの投与量)2.5単位/部位、(投与部位数)2部位。
⑤. 〈片側顔面痙攣〉大頬骨筋:(1部位あたりの投与量)5.0単位/部位、(投与部位数)1部位。
⑥. 〈片側顔面痙攣〉小頬骨筋:(1部位あたりの投与量)5.0単位/部位、(投与部位数)1部位。
⑦. 〈片側顔面痙攣〉笑筋:(1部位あたりの投与量)5.0単位/部位、(投与部位数)1部位。
⑧. 〈片側顔面痙攣〉オトガイ筋:(1部位あたりの投与量)5.0単位/部位、(投与部位数)1部位。
⑨. 〈片側顔面痙攣〉広頸筋※:(1部位あたりの投与量)2.5単位/部位、(投与部位数)上限4部位。
*)臨床試験では、追加投与及び再投与時には眼輪筋に対して1部位あたり5単位まで投与された症例がある。なお、眼輪筋に対して2.5単位を超えて投与する場合には、特に副作用の発現に留意しながら慎重に投与すること。
※)広頸筋に対しては筋緊張によりスジ状として隆起している部位に投与する。なお、薄い皮筋であるため穿通しないよう注意すること。
7.8. 〈痙性斜頸〉緊張筋が深部であるなど、触診で緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.9. 〈痙性斜頸〉投与による効果が認められない場合は、用量及び投与部位について再検討した上で追加投与を行うこと。
7.10. 〈痙性斜頸〉本剤注射により投与筋の筋緊張が低下したのち、その協働筋側の緊張が亢進し、異常姿勢を来すことがあるため、初回投与以降では緊張が亢進している筋を注意深く同定し、投与すること〔8.2.10参照〕。
7.11. 〈痙性斜頸〉初回及び初回後の追加投与を含む240単位までの投与により全く効果が認められない場合は、より高頻度・高投与量で投与を行っても効果が期待できない場合があるため、本剤の投与中止を考慮すること。
7.12. 〈痙性斜頸〉筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、注射する。臨床成績等から、次のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
1). 〈痙性斜頸〉胸鎖乳突筋*:(初回投与量※※、投与部位数)15-50単位を2ヵ所以上に分割、(最高投与量※※※)100単位。
2). 〈痙性斜頸〉僧帽筋:(初回投与量※※、投与部位数)30-60単位を2ヵ所以上に分割、(最高投与量※※※)100単位。
3). 〈痙性斜頸〉板状筋:(初回投与量※※、投与部位数)25-50単位を2ヵ所以上に分割、(最高投与量※※※)100単位。
4). 〈痙性斜頸〉斜角筋:(初回投与量※※、投与部位数)15-25単位、(最高投与量※※※)50単位。
5). 〈痙性斜頸〉僧帽筋前縁:(初回投与量※※、投与部位数)15-30単位、(最高投与量※※※)100単位。
6). 〈痙性斜頸〉肩甲挙筋※:(初回投与量※※、投与部位数)20-30単位、(最高投与量※※※)80単位。
7). 〈痙性斜頸〉傍脊柱筋:(初回投与量※※、投与部位数)20単位、(最高投与量※※※)50単位。
8). 〈痙性斜頸〉広頸筋:(初回投与量※※、投与部位数)20-30単位、(最高投与量※※※)80単位。
*)胸鎖乳突筋に投与する場合は、嚥下障害発現のリスクを軽減するため、両側への投与を避けること。
※)肩甲挙筋へ投与する場合は、嚥下障害及び呼吸器感染のリスクが増大する可能性があるので注意すること。
※※)各筋に対し、初めて投与する場合の投与量を示す。
※※※)各投与部位への投与量は30単位を上限とすること。
7.13. 〈上肢痙縮〉緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.14. 〈上肢痙縮〉筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、次のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
[成人]
1). 〈上肢痙縮〉上腕二頭筋:(投与量)70単位、(投与部位数)2部位。
2). 〈上肢痙縮〉上腕筋:(投与量)45単位、(投与部位数)1部位。
3). 〈上肢痙縮〉腕橈骨筋:(投与量)45単位、(投与部位数)1部位。
4). 〈上肢痙縮〉橈側手根屈筋:(投与量)50単位、(投与部位数)1部位。
5). 〈上肢痙縮〉尺側手根屈筋:(投与量)50単位、(投与部位数)1部位。
6). 〈上肢痙縮〉深指屈筋:(投与量)50単位、(投与部位数)1部位。
7). 〈上肢痙縮〉浅指屈筋:(投与量)50単位、(投与部位数)1部位。
8). 〈上肢痙縮〉長母指屈筋:(投与量)20単位、(投与部位数)1部位。
9). 〈上肢痙縮〉母指内転筋:(投与量)20単位、(投与部位数)1部位。
[小児]
1). 〈上肢痙縮〉上腕二頭筋:(投与量)1.5~3.0単位/kg、(投与部位数)4部位。
2). 〈上肢痙縮〉上腕筋:(投与量)1.0~2.0単位/kg、(投与部位数)2部位。
3). 〈上肢痙縮〉腕橈骨筋:(投与量)0.5~1.0単位/kg、(投与部位数)2部位。
4). 〈上肢痙縮〉橈側手根屈筋:(投与量)1.0~2.0単位/kg、(投与部位数)2部位。
5). 〈上肢痙縮〉尺側手根屈筋:(投与量)1.0~2.0単位/kg、(投与部位数)2部位。
6). 〈上肢痙縮〉深指屈筋:(投与量)0.5~1.0単位/kg、(投与部位数)2部位。
7). 〈上肢痙縮〉浅指屈筋:(投与量)0.5~1.0単位/kg、(投与部位数)2部位。
7.15. 〈下肢痙縮〉緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.16. 〈下肢痙縮〉筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、次のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
[成人]
1). 〈下肢痙縮〉腓腹筋(内側頭):(投与量)75単位、(投与部位数)3部位。
2). 〈下肢痙縮〉腓腹筋(外側頭):(投与量)75単位、(投与部位数)3部位。
3). 〈下肢痙縮〉ヒラメ筋:(投与量)75単位、(投与部位数)3部位。
4). 〈下肢痙縮〉後脛骨筋:(投与量)75単位、(投与部位数)3部位。
[小児]
1). 〈下肢痙縮〉腓腹筋(内側頭):(投与量)1.0~2.0単位/kg、(投与部位数)2部位。
2). 〈下肢痙縮〉腓腹筋(外側頭):(投与量)1.0~2.0単位/kg、(投与部位数)2部位。
3). 〈下肢痙縮〉ヒラメ筋:(投与量)1.0~2.0単位/kg、(投与部位数)2部位。
4). 〈下肢痙縮〉後脛骨筋:(投与量)1.0~2.0単位/kg、(投与部位数)2部位。
7.17. 〈重度の原発性腋窩多汗症〉投与前にMinor’sヨウ素デンプン反応等の染色法を使用して目標とする発汗部位を同定すること。
7.18. 〈重度の原発性腋窩多汗症〉注射針は針先端の斜め部分を上にして、皮膚表面に対し45°の角度で約2mmの深さへの皮内注射が推奨されており、また、効果のない部分を最小限にとどめるため、注射位置を添付文書の図のように等間隔でジグザグ状に配置することが推奨されている。
7.19. 〈斜視〉外眼筋に投与する際には、筋電計等の使用や外眼筋の外科的露出により、注意深く目標とする部位を同定すること。
7.20. 〈斜視〉本剤投与前に点眼麻酔薬の投与が推奨されている。
7.21. 〈斜視〉薬液量は1つの筋あたり0.05~0.15mLが推奨されている。
7.22. 〈斜視〉筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、初回投与では次のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
1). 〈斜視〉内直筋:(初回投与量)1.25~2.5単位/筋*又は2.5~5.0単位/筋※、(投与部位数)1部位/筋。
2). 〈斜視〉外直筋:(初回投与量)1.25~2.5単位/筋*又は2.5~5.0単位/筋※、(投与部位数)1部位/筋。
3). 〈斜視〉上直筋:(初回投与量)1.25~2.5単位/筋※※、(投与部位数)1部位/筋。
4). 〈斜視〉下直筋:(初回投与量)1.25~2.5単位/筋※※、(投与部位数)1部位/筋。
*)20プリズムジオプトリー未満の水平斜視。
※)20~50プリズムジオプトリーの水平斜視。
※※)上下斜視。
7.23. 〈痙攣性発声障害〉内喉頭筋に投与する際には、筋電計を用いて注意深く目標とする筋を同定すること。
7.24. 〈痙攣性発声障害〉薬液量は片側あたり0.1mLが推奨されている。
7.25. 〈痙攣性発声障害〉内転型痙攣性発声障害の治療では、患者を背臥位とし、輪状軟骨上縁の正中より約5mm外側(投与側)に注射針を経皮的に刺入した後、輪状甲状間膜を貫通させて甲状披裂筋へと到達させる。内転型痙攣性発声障害の治療で両側投与を行った場合には嚥下障害等の有害事象がより長期間持続することがあるので、再投与時の両側投与の要否は、片側投与による治療効果と有害事象の発現状況を確認した後に慎重に検討すること。
7.26. 〈痙攣性発声障害〉外転型痙攣性発声障害では、投与前の内視鏡検査により、左右の声帯の可動性及び声門間隙の大きさを確認し、通常、病的運動が強い側の後輪状披裂筋に投与する(注射の際には患者を背臥位とし、投与側の反対側へ頭部を回旋させた上で、輪状軟骨の後面に向けて外側方向から経皮的に注射針を刺入する)。外転型痙攣性発声障害では、投与側の声帯が動かなくなった場合に声門閉鎖又は声門狭窄による呼吸困難等が生じないよう、反対側の声帯が十分動く場合にのみ投与することとし、両側への投与は行わないこと。
7.27. 〈痙攣性発声障害〉混合型痙攣性発声障害における有効性及び安全性は確立していない。混合型痙攣性発声障害の場合、甲状披裂筋及び後輪状披裂筋への同時投与後に重篤な呼吸困難が報告されていることから、甲状披裂筋及び後輪状披裂筋への同時投与は避けること。
7.28. 〈過活動膀胱、神経因性膀胱〉排尿筋に投与する際には、硬性膀胱鏡又は軟性膀胱鏡を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
7.29. 〈過活動膀胱、神経因性膀胱〉本剤投与前には、必要に応じて局所麻酔薬の注入による膀胱粘膜麻酔や鎮静薬の投与を行うこと(局所麻酔薬を注入した場合は投与前に除去し、膀胱内を生理食塩液で洗浄すること)。自律神経異常反射を来しやすい背景を有する神経因性膀胱患者では、全身麻酔等の適切な麻酔を行うこと〔1.7、9.1.5参照〕。
7.30. 〈過活動膀胱、神経因性膀胱〉膀胱壁における注射部位を十分に確認するため、本剤の投与直前に膀胱内に生理食塩液を注入し、膀胱を適度に拡張する(その際、膀胱を拡張しすぎると、投与時に薄くなった膀胱壁を注射針で穿通するおそれがあるため、生理食塩液の過量注入に注意すること)、投与終了後、自排尿不能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を直ちに除去し、自排尿可能な患者では膀胱内に注入した生理食塩液を自ら排出できることを確認すること。
7.31. 〈過活動膀胱、神経因性膀胱〉本剤100単位を投与する際は薬液10mLを20ヵ所に、本剤200単位を投与する際は薬液30mLを30ヵ所に分割して注射することが推奨されており、各注射部位の間隔は約1cm、注射針の刺入深度は約2mmとし、膀胱三角部への注射は避けること〔14.1.1参照〕。
改訂情報
2024年7月31日 DSU No.328 【その他】
【1.警告】(一部改訂)
〈効能共通〉
本剤の有効成分は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素であるため、使用上の注意を熟読した上で、用法及び用量を厳守し、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、重度の原発性腋窩多汗症、斜視、痙攣性発声障害、過活動膀胱、神経因性膀胱以外には使用しないこと。ミオクローヌス性ジストニーの患者で、本剤による治療中に因果関係を否定できない死亡例の報告がある。
【1.警告】(一部改訂)
〈痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、斜視、痙攣性発声障害〉
講習を受けた医師で、本剤の安全性及び有効性を十分理解し、高度な解剖学的知識、筋電図測定技術及び本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が投与を行うこと。
本剤による治療中に因果関係を完全に否定できない死亡例の報告がある。痙性斜頸、上肢痙縮、痙攣性発声障害患者では、特に呼吸障害、嚥下障害等頸部関連筋に関する副作用があらわれるおそれがある。
【5.効能又は効果に関連する注意】(一部改訂)
〈上肢痙縮、下肢痙縮〉
本剤は理学療法、作業療法等の標準的治療の代替とはならないため、これらの治療と併用して使用すること。
【5.効能又は効果に関連する注意】(一部改訂)
本剤は非可逆的拘縮状態となった関節の可動域の改善に対しては効果を有しない。
【5.効能又は効果に関連する注意】(一部改訂)
痙縮の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行うこと。
【6.用法及び用量】(追記)
〈上肢痙縮〉
〈小児〉
通常、2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋※に合計3~6単位/kgを分割して筋肉内注射する。1回あたりの投与量は6単位/kgと200単位のいずれも超えないこととし、対象となる緊張筋の種類や数により、必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
※緊張筋:上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋等
【6.用法及び用量】(追記)
〈下肢痙縮〉
〈小児〉
通常、2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋※に合計4~8単位/kgを分割して筋肉内注射する。1回あたりの投与量は、一側下肢への投与で8単位/kgと300単位、両下肢への投与で10単位/kgと340単位のいずれも超えないこととし、対象となる緊張筋の種類や数により、必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
※緊張筋:腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋等
【6.用法及び用量】(削除)
〈2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足〉
通常、2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として4単位/kgを、罹患している腓腹筋の内側頭・外側頭の各々2ヵ所に筋肉内注射する。両下肢に投与する場合は、4単位/kgを両肢に分割して投与する。初回投与以後、効果不十分な場合にはヒラメ筋、後脛骨筋等へ投与することができる。なお、症状に応じて適宜増減することができる。ただし、1回の総投与量は200単位を超えないこととし、再投与は前回の効果が消失した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。
【7.用法及び用量に関連する注意】(一部改訂)
〈効能共通〉
複数の適応に本剤を同時投与する場合には、それぞれの効能又は効果で規定されている投与量の上限及び投与間隔を厳守するとともに、12週間のA型ボツリヌス毒素の累積投与量として以下の用量を上限とすること。
・成人の上肢痙縮及び下肢痙縮に対する同時投与:合計600単位を上限とし、患者の状態に応じて徐々に増量する等、慎重に投与すること。
・小児の上肢痙縮及び下肢痙縮に対する同時投与:合計10単位/kgと340単位のいずれも超えないこと。
・その他の複数の適応に対する同時投与:安全性が確立されていないため、複数の適応に本剤を同時に投与しないことが望ましい。やむを得ず同時に投与する場合、成人では合計400単位を上限とし、小児では合計10単位/kgと340単位のいずれも超えないこと。
【7.用法及び用量に関連する注意】(追記)
〈上肢痙縮〉
筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
〈小児〉
【7.用法及び用量に関連する注意】(追記)
〈下肢痙縮〉
筋ごとの適切な部位及び投与量に留意すること。臨床成績等から、以下のような投与筋、投与量及び投与部位数が推奨されている。
〈小児〉
【7.用法及び用量に関連する注意】(削除)
〈2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足〉
緊張筋の同定が困難な場合には、筋電計、超音波検査やスティミュレーター等を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。
【7.用法及び用量に関連する注意】(削除)
筋ごとの適切な部位及び投与量に留意し、注射する。
【8.重要な基本的注意】(一部改訂)
〈効能共通〉
本剤は眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、重度の原発性腋窩多汗症、斜視、痙攣性発声障害、過活動膀胱、神経因性膀胱の適応のみに使用する製剤のため、眉間又は目尻の表情皺に対しては、ボトックスビスタ注用50単位を用いること。これら以外の適応には安全性が確立していないので絶対使用しないこと。
【8.重要な基本的注意】(一部改訂)
本剤の投与は対症療法であり、その効果は、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、斜視、痙攣性発声障害では通常3~4ヵ月、重度の原発性腋窩多汗症では通常4~9ヵ月、過活動膀胱では通常4~8ヵ月、神経因性膀胱では通常8~11ヵ月で消失し、投与を繰り返す必要がある。
【8.重要な基本的注意】(一部改訂)
妊娠する可能性のある女性は、本剤投与中及び最終投与後2回の月経を経るまでは適切な方法で避妊する必要がある。
【8.重要な基本的注意】(一部改訂)
男性は、本剤投与中及び最終投与後少なくとも3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要がある。
【9.4生殖能を有する者】(一部改訂)
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2回の月経を経るまでは避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
【9.4生殖能を有する者】(一部改訂)
男性には、本剤投与中及び最終投与後少なくとも3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。精子形成期間に投与されることを避けるため。
【9.7小児等】(一部改訂)
2歳以上の上肢痙縮・下肢痙縮、及び12歳以上の斜視を除く適応では、小児を対象とする有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
【11.2その他の副作用】(一部改訂)
【14.適用上の注意】(一部改訂)
[薬剤投与時の注意]
投与部位:
〈眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、斜視、痙攣性発声障害、過活動膀胱、神経因性膀胱〉
用法及び用量に示すとおり、適用部位の筋肉内にのみ注射すること。特に、眼輪筋切除術施行後の患者に投与する場合は、より正確に目標とする部位を同定するため、必ず筋電計を用いて筋活動電位を確認すること。
医師の処方により使用する医薬品。