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医薬品の薬価と保険適用の関係

医療用医薬品は、その安全性、有効性、品質などが確認された上で厚生労働省から承認を受け使用されています。しかし、その全てが保険適用され、公定の価格、すなわち「薬価」が設定されているわけではありません。本記事では、医療用医薬品の薬価収載と保険適用について解説します。

薬価収載と保険適用

解熱鎮痛剤、抗生物質や血圧降下薬などをはじめ、さまざまな疾患の治療や手術などで用いられる多くの医療用医薬品は国による薬価収載があり、単価が公に設定されています。これらの医薬品は、医師や歯科医師の診断により処方され、医療保険の対象となっています。2024年6月現在、薬価収載されている医薬品は2万品目以上あります。

保険適用されない医療用医薬品

一方で、一部の医療用医薬品は、直ちに生命にかかわる病気を治療するものではなく、生活の質を改善する目的で使用されます。これらは「生活改善薬」と呼ばれ、通常は保険の適用外となります。発毛薬、性機能障害改善薬、経口避妊薬などがこれにあたります。
ただし、何が保険適用されて、何がされないかという分類は、医療の進歩や社会の需要に応じて変わることがあります。例えば日本では禁煙治療が2006年から、不妊治療が2022年から保険適用となり、それぞれに対応する医薬品が薬価収載されています。
なお、医療用医薬品で保険適用されない「生活改善薬に分類される医薬品」は、ドラッグストアなどで購入することができるいわゆる「OTC医薬品」とは異なるものです。医療用医薬品とOTC医薬品の違いについて詳しくは薬と医療制度~「薬価制度とは」をご参照ください。
また、季節性インフルエンザなどの予防接種に用いられるワクチン類も基本的には薬価収載されません。これらは医療保険の適用はありませんが、予防接種法に基づき、疾病の区分に応じた国または地方自治体の公費負担がある場合があります。
※:黄熱ワクチン、組換え沈降B型肝炎ワクチン、肺炎球菌ワクチン、乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン、4価髄膜炎菌ワクチン等の一部のワクチンは薬価収載されています。
2024年6月現在、薬価収載されておらずPMDA(医薬品医療機器総合機構)で参照できる医療用医薬品は約550品目です。

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保険適用があるが薬価のない薬

また、珍しいパターンとして、保険適用はあるが薬価の設定がない医療用医薬品というものも存在します。
具体的には次のような品目が該当します。
・アイノフロー吸入用800ppm(一酸化窒素)
・FDGスキャン注(フルデオキシグルコース(18F)注射液)
・無水エタノール注「フソー」(無水エタノール注射液)
これらの医薬品は、消毒や麻酔、手術などの治療過程で医師などによって用いられ、患者さんへ直接手渡されることはありません。そのため、その使用は治療行為の一部として治療の点数に組み込まれ、薬価としては設定されないものの、結果として保険が適用される形になっています。
2024年6月現在、該当する品目は約50で、医療用医薬品全体の中での割合は1%以下になります。

まとめ

このように、医療用医薬品には「薬価収載される医薬品」と「薬価収載されない医薬品」があり、薬価収載されないものでも保険適用となるもの、薬価はついていないものの結果として保険適用となるもの、など、様々なパターンがあります。日常生活において意識する場面は多くないかもしれませんが、医療現場などで保険請求を考える場合などには、これらについて留意する必要があります。